パソコミ誌『あ』の電脳版

猿若句会直近の[例会特選句集]、連句・友多加座の[最新巻]、私家版辞典[酷誤呆典]、掌エッセイ[信想究迷]などなど

猿若句会特選句集 

 

2020年3月例会(2020年3月21日)

◎=特選  ○=秀作  △=佳作

 

◎  銀翼が貫く空や夕霞  古明地昭雄

◎  つくしんぼ大地貫く力みせ  柴田弘

◎  マイペース貫き通し卒業す  佐竹茂市郎

◎  初恋を貫き成就花前に  宮島久代

◎  閃光を貫く速さ春の雷  児玉竹子

〇  臨休や天下御免の朝寝かな  中村呆信

〇  袴取る指先黒し土筆和  長谷川英夫

〇  貫きし武士の一分大石忌  丸本 武

〇  春寒や長きホームの上野駅  高橋 均

〇  春場所や常より響く四股の音  花柳小春

〇  窓開けて一気通貫春の風  原 健一

〇  この穴を初心貫徹虫出づる  内野和也

〇  田畑を貫く新道花菜風  中村克久

 

「ひとこと」 連日のコロナ禍の報道には、関係の有無に関わらず未だに惑わされ続けています。私のパソコンも、OSが古いタイプのものなので交換すべしとの脅迫まがいの助言が連日。ついに軍門に降り交換。いろいろな機能も増えているらしいが、私らにはそれが必要なのかどうかもわからず、ただアタフタしています。このブログも、ある意味、とばっちりを受けて何をしたらいいかわからなくなりました。つまり、時間切れ。そこで、知の木々舎のブログもは今月に限り休載しました。なお、特選・秀作の<貫>は兼題でした。

 

猿若句会特選句集 

2020年2月15日=青梅市内吟行句会

 

◎=特選  ○=秀作  △=佳作

◎  古民家に残る寒さや土間暗し  長谷川英夫

◎  六蛙の石蛙が迎え寺うらら  中村呆信

◎  山迫る旧街道や梅が春  柴田弘

◎  潜り戸の両側飾るつるし雛  児玉竹子

◎  奥多摩やなべて老梅天を指す  丸本 武

〇  閉店の張り紙二枚春愁  花柳小春

〇  良く通る読経の寺や梅満開  川上登美枝

〇  春がすみ小手を翳して向う岸  宮島久代

〇  古樹に咲く白梅の先白い蔵  原 健一

〇  春めきて昭和レトロの青梅宿  高橋 均

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[ひとこと] 今月は青梅市内に吟行を行ないました。上掲がその成果です。十人が同じ場所を作句目的で廻ったわけですが、不思議なものです。前々月・前月で話題にした類句がまったくなかったことです。たとえば同じ臥龍梅を対象にしていながら微妙に視点が変わるものです。意識をしなくとも作句への気迫が動いてのでしょう。話は変わります。猿若句会は毎年二期にわけて特選句を選んでいます。‘19下半期特選句がきまりました。今期は票が割れて[一席 晩鐘に昼顔花を閉じにけり 弘道][同一席 譲られし席に着ぶくれ納めけり 均][三席 どの子にも頼るあてなし鰯雲 均]でした。

◆なお、知の木々舎のブログhttp://blog.so-net.ne.jp/chinokigi/ 月前半期(1~14日)には「猿若句会秀句選」が掲載されています。

 

猿若句会特選句集 2020年1月例句=初句会­

◎=特選  ○=秀作  △=佳作

 

◎  初鏡ますます母に似てきたりく 川上登美枝

◎  なずな這う荒畑はるか富士の山  原 健一

◎  煮凝や話せば長き後日談  丸本 武

◎  初詣願いの風が絵馬鳴らす  古明地昭雄

◎  東山昏れて祇園の初灯  中村克久

◎  退院の友より電話四温なり  花柳小春

◎  春日野に小鹿まどろむ小正月  柴田弘

◎  初笑女三人総崩れ  宮島久代

〇  伝え来し火消しの心梯子乗  長谷川英夫

〇  賽銭を少しはずんで初詣  高橋 均

〇  一坪の家庭菜園鍬始  中村呆信

〇  未知の日々丸めを戻し初暦  児玉竹子

〇  三寒の冴えたる月の白さかな  内野和也

〇  玄関のドアに小さき輪飾りが  伊藤 理

〇  受験期は三寒四温の日が続く  佐竹茂市郎

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[ひとこと] 「知の木々舎」のブログの前号の「短評」欄に、例をあげながら類句を一番戒めたいと書いた。タイミングを逸したことと今月が初句会であったことから、逆に今月の巻頭句も類句になってしまった。このブログ『あ』では、結果だけを載せて短評欄はなかったので今号から設けることにしました。

◆なお、知の木々舎のブログhttp://blog.so-net.ne.jp/chinokigi/ 月前半期(1~14日)には「猿若句会秀句選」が掲載されています。

 

 

猿若句会特選句集 Ⅱ-4

 

2019年12月例句会(2019年12月21日)

◎=特選  ○=秀作  △=佳作

 

◎  どの子にも一つは台詞聖夜劇  伊藤 理

◎  譲られし席に着ぶくれ納めけり  高橋 均

◎  語尾濁し葬の挨拶年の暮  児玉竹子

◎  恙なく只恙なく柚子湯浴む  内野和也

◎  一つ程小さき望みの余生あり  川上登美枝

◎  大小の実をとり混ぜて柚子湯かな  宮島久代

◎  姉妹市の友好碑古り枯尾花  中村克久

〇  アフガンの鉄人逝きぬ冬至粥  古明地昭雄

〇  極月の噂に尾鰭つきにけり  大橋一火

〇  冬至夜の少し癖あるロゼワイン  丸本 武

〇  極月や逝き人みな懐かしく  花柳小春

〇  湯と料理七尾を選ぶ冬の旅  佐竹茂市郎

〇  廃線の鉄路侘しや枯尾花  柴田弘

〇  北の空影濃き尾根や雪催  長谷川英夫

〇  炭の音が響く茶席に山茶花が  原 健一

△  四五本が高々と枯る枯れ尾花  中村呆信

 

 

 なお、知の木々舎のブログhttp://blog.so-net.ne.jp/chinokigi/ 月前半期(1~14日)には「猿若句会秀句選」が掲載されています。

 

 

猿若句会句会特選句集

2019年11月例句会

 

(2019年11月16日)

◎=特選  ○=秀作  △=佳作

 

◎  金粉は盃の底恵比須講  中村克久

◎  整然と薪積み終えて山眠る  佐竹茂市郎

◎  晴れゐても影淡かりし冬ざくら  伊藤 理

◎  ふるさとは西に海あり山眠る  高橋 均

◎  小春日に輝くティアラ背伸び見る  長谷川英夫

◎  浅漬けの市に残れる江戸情緒  柴田弘

◎  スティックも靴も遺品や山眠る  児玉竹子

◎  何もかもみんな抱きて山眠る  宮島久代

〇  山眠る一揆の記憶秘めしまま  丸本 武

〇  絶景の尾根に人無し山眠る  原 健一

〇  地滑りの疵ありありと山眠る  大橋一火

〇  庭下駄や日差し恋しき今朝の冬  内野和也

〇  光る葉に黄金が映える石蕗の花  古明地昭雄

〇  山眠る免許返上そろそろか  花柳小春

〇  多摩連山うつらうつらと微睡めり  中村呆信

△  眠りつくひととき前の山の宴  川上登美枝

 

 

 

 なお、知の木々舎のブログhttp://blog.so-net.ne.jp/chinokigi/ 月前半期(1~14日)には「猿若句会秀句選」が掲載されています。

 

 

猿若句会2019年10月例句会特選句集

(2019年10月19日)

◎=特選  ○=秀作  △=佳作

 

◎  箸使ふ国こそよけれ秋刀魚焼く  丸本 武

◎  鐘楼にしばし夕陽や萩の寺  原 健一

◎  秋時雨傘持つ人と持たぬ人  高橋 均

◎  風炉の陽に袖も乾かず秋時雨  中村呆信

◎  焼きたての秋刀魚醤油を跳ね飛ばす  佐竹茂市郎

◎  大皿に小さき秋刀魚や酒二合  大橋一火

〇  紅葉する林の奥の祠かな  柴田弘

〇  柿干して過疎の古里はなやげる  伊藤 理

〇  お茶席の懐紙しとっり秋時雨  宮島久代

〇  木犀の香に誘はれて遠回り  花柳小春

〇  秋彼岸宗派を問わぬ新霊園  中村克久

〇  一本は椋鳥のもの並木かな  川上登美枝

〇  哀れかな延命草に鵙の贄  古明地昭雄

〇  秋最中鍛えし体芝駆ける  長谷川英夫

〇  柿熟れて今も残りし屋敷林  児玉竹子

 

 

 なお、知の木々舎のブログhttp://blog.so-net.ne.jp/chinokigi/ 月前半期(1~14日)には「猿若句会秀句選」が掲載されています。