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猿若句会2020年6月例句会特選句集
(2020年6月20日)
◎=特選 ○=秀作 △=佳作
◎ 上水に刻の流れや桜桃忌 中村克久
◎ 焼き鯖に若狭小浜の風を嗅ぐ 花柳小春
◎ 女郎蜘蛛有明月を捕えおり 古明地昭雄
◎ 短夜や夢と現が入り乱れ 中村呆信
◎ 明易や友の妻より来し電話 丸本 武
〇 相席は皺のある人生ビール 高橋 均
〇 短夜や夢は旅立つところまで 川上登美枝
〇 集落の人無き畑に姫女苑 原 健一
〇 明け易し大きく響く寺の鐘 宮島久代
〇 青春は悩みばかりや桜桃忌 佐竹茂市郎
○ 太陽の高さを仰ぐ夏至夕べ 伊藤 理
○ 小鳥なく多摩の川原や梅雨の空 長谷川英夫
△ 墓前にはタバコ一本桜桃忌 児玉竹子
△ 桜桃忌水と戯る童かな 内野和也
△ 堤防に下駄捨ててある桜桃忌 大橋一火
「ひとこと」コロナの緊急事態宣言が出て例会も休会していたためこの句集も同様休載していました。やっと復活再開です。巻頭句、兼題句「桜桃忌」のなかの一句でした。「桜桃忌」の出句が24句もありました。当然、兼題句だけではそれほど集まりません。何人かが当季雑詠句も兼題句で挑戦してきたのでしょう。特徴ある季語だからと、気軽に考えたのでしょう。しかし、その殆どが失敗しています。知るべくもない太宰治と、禅林寺での桜桃忌に参加していなくても知識として知っていたことで気軽に考えたのでしょう。私も出句のため作句しました。特徴的な季語だと思ってはいましたが、逆にとらえどころの薄い手強い相手でした。それと、季語を下五での作句が24句中21句もあったことです。「桜桃忌」と下五と決めることで、上五と中七の措辞と取り合わすべき一章が前記と同じ事由で限定され過ぎて選べなったのではないでしょうか。
◆なお、知の木々舎のブログhttp://blog.so-net.ne.jp/chinokigi/ の月前半期(1~14日)には「猿若句会秀句選」も、同じ事由で復活再掲載を始めています。
います。