パソコミ誌『あ』の電脳版

猿若句会直近の[例会特選句集]、連句・友多加座の[最新巻]、私家版辞典[酷誤呆典]、掌エッセイ[信想究迷]などなど

信想究迷=⁂ 呆信賞 ⁂

                    

◆ 闇汁の納豆にまじる柘榴かな         会津八一

 

◆ 寒からう痒からう人に逢ひたからう     正岡子規

 

◆ 死骸や秋風かよふ鼻の穴          飯田蛇笏

 

◆ では剥いてやろ空豆の宇宙服          手島渚男

 

◆ ここもまた誰かの故郷氷水          神野紗季

 

「解題」

私の旧ホームページには「信想究迷」と題する掌エッセイ欄がありました。その中の一つに毎年『呆信賞』と宣いて、私が前年に鑑賞した俳句作品の中から五作品を選んで発表してきたものがあります。とは言っても賞品・賞金が無いことはもちろん、権威も特典も全く無いものです。このところ例のコロナ騒ぎで例会を四回も休んでいたので、このブログの例会通信も休載になっていました。そこで思い出したのがこのコラムです。遅ればせながら令和二年度の『呆信賞』を選んでみたのが上記です。

第一席は最初から会津八一大先輩のこの句に決めていました。八一先生が俳句を嗜んでいたなぞ全く知らず、この句を見つけた時は嬉しくなって慌ててメモしました。ところがいざ掲載しようとしたら、そう秀作でもなく句意も判りにくいものでした。一応予備知識を仕入れておこうとパソコンで調べたところ、どうやら先輩も最初は俳句をやっていたようで、早稲田の学生時代に『東北日報』の俳句欄の選者をやっていたとの記録があるようです。句意だけは牽強付会でやっておきます。

《当時、学生の間で流行っていた「闇汁」を行った時、まず口にしたのは納豆だった。今回の汁はこれも当時東北辺で流行っていた「なっと汁」だなと異物でないことに安堵した。が、しかし次に口にしたのは柘榴だったので、油断はならぬと警戒した》

ただ先に記したように先生の句は早とちりで写し違いかもしれません。気がついた方がおりましたらお教えください。